2025年9月17日(水)

早朝、私は遠くで雷のような音を聞いて目を覚ましました。それは雷ではなく、爆撃音でした。空気を伝わって響き渡るその音に私たちは慣れっこになっていますが、それでも毎回聞くと心の底に恐怖心を植え付けられます。

朝の祈りを捧げ、鞄に必要な物を詰め、人道支援の仕事へと向かいました。それはもはや単なる仕事ではありません。それは、私の人生の使命となり、道がどれほど危険であろうと、恐怖があろうと、私には胸に抱き続ける強いものがあります。

街を歩きながら、警戒して周囲を見渡し、時折空をちらりと見上げて、無事に一日が過ぎることを願いました。危険な状況で、イスラエル軍の攻撃が各地で続いていましたが、人々を助けに行こうという私の決意は、恐怖よりも勝りました。

私が自分に言い聞かせていたことは、「困っている人がいる限り、こうして家にいるわけにはいかない」ということです。

分かれ道のところで、私は職場へ向かう小さな荷車に乗りました。隣には若い女の子が座り、スマートフォンを握りしめ、ものすごく集中して画面を見つめていました。私は微笑みながら優しく訊いてみました。「何を見ているの?」。彼女は疲れた笑みをかすかに浮かべながら顔を上げて私に話してくれました。

「私は高校生で、戦争が始まってから、卒業試験を受けられないでいるの。今日、教育省が発表したところによると、2年ぶりにオンラインで受験ができるそうなの。だから今はスマートフォンを使って勉強しようと思っているの。でもテントの中で勉強するのはとても難しいの。静かに勉強をするためにはキャンプの中では集中できないから、遠くのカフェまで行こうと思っているの。」

彼女の言葉はとても分かりやすかったのです。それは私の心にとても響きました。

彼女の年齢の生徒が、学ぶ権利のためにこうして一生懸命、闘っている姿を見るのは、どれほど痛ましいことでしょうか。彼女の唯一の夢は試験に成功して、未来を築くことであるべきなのに。本当に残念です。

私は彼女の目をしっかり見て、悲しみを隠して微笑みかけました。

「心配しないで、神様のお恵みがあれば、すべてがうまくいくから。あなたは勉強に専念すれば、全てがうまくいくから、困難な状況の中で学ぶ者こそ、成功に値するから」と私は優しく語りかけました。

しかし彼女が恥ずかしそうに微笑み返してくれたので、私も自分に思いを馳せてみました。

なぜ私たちの人生はこんなに厳しいのでしょうか?なぜ他の学生は静かに快適な教室で試験を受けられるのに、ガザにいる学生たちはその機会を奪われているのでしょうか。単にインターネットも電話もなく、安全に勉強できる場所がないというだけの理由でしょうか?

彼女の瞳に、ガザの数千人の学生たちの姿を垣間見ました。

学校も、教科書も、家も失ったのに、それでもなお夢を諦めない学生たちがいます。

中には勉強用のスマートフォンを持っていない人もいます。ドローンの音と恐怖に満ちたテントで暮らす者もいます。一部の生徒達は学校から遠く離れた場所に避難させられた人たちもいるのです。

これがガザの学生たちの現実なのです。学びを求めて闘う世代、ろうそくの灯りで闇に立ち向かい、壊滅的な状況にも揺るぎない希望を持とうとしているのです。彼女らは教育こそがより良い明日への道だと強く信じているのです。

その瞬間、今、私が行っている人道支援の仕事は、食べ物が足りずに飢えた人々に食料を届けることや負傷した人を助けることだけではないと気がついたのです。それはこのような若者たちの心に希望のあかりを灯し続けることでもあると思います。なぜなら彼女らの存在が未来であり、戦争がどれほど長く続こうとも、私たちは彼女らを守らねばならないからです。

馬車が止まり、降りようとした時、私は彼女の方を向いて語りかけました。 「忘れないでね。ペンを握る人は、決して戦争で人を打ち負かすことはしないと思うから」。彼女は微笑み「たとえそのインクが私たちの血であっても私たちは書き続けます

と静かな決意に満ちた瞳で話してくれました。

その瞬間、希望を貫く心がある限り、ガザはこれからも生き続けることが、私にはわかりました。


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