2025年7月10日(木)

恐怖と戦慄、忘れることのできない苦しみに満ちた一日でした。仕事中に、突然の母からの電話で、信じられない知らせが飛び込んできました。私は震える声で受話器を取り、「もしもし」と答えると、胸が張り裂けるような声で母が泣いて言ったのです。「私たち、包囲されているの……」私はその場で凍りつき、周りのすべてが恐ろしい静寂に消えていくように感じました。震える声で「え?どうして?」と聞き返しましたが、母のすすり泣く沈黙と、遠くで響く敵の戦車の砲撃の音で、私の心は一瞬にして止まりそうでした。まるで世界全体が崩れ落ち、私の大切な人たちのもとに悲しい死の現実が迫ってきているかのように感じました。

涙が頬を伝い、心は不安で一杯になりました。私はガザ地区の真ん中にいて、家族から遠く離れていて、すぐに会いに行くこともできず、一瞬の時間がとても長く感じました。我慢できずに、私は急いで仕事場を離れ、南へ一刻も早く帰るための車を探しながら、心の中で祈りました。「どうか無事でいて……どうか無事でいて……」不安と破壊の光景が頭の中を駆け巡り、一瞬一瞬、不安と悲しみが増幅しました。

南部にたどり着き、できるだけ早く歩き始めました。一歩一歩が恐怖で足取りも重く、息をするたびに不安がのしかかりました。家族の住む地域に着くと、その光景はまるで悪夢のようでした。空には煙が立ちこめ、炎がテントを飲み込み、砲撃は止むことなく、爆発が周囲の地面を揺らしていました。足元の大地が崩れ落ちるかのように感じ、私は道の真ん中で声も出せず泣き始めました。周りの人々は逃げ惑い、命を守ろうと必死で走っていました。その中に家族がいるのではないかと、不安が、私の胸を締めつけました。

そして、忘れられない瞬間がきました。通りの遠くの方から一台の車が近づいてくるのが見えたのです。不安と安堵が入り混じって、心臓が止まりそうになりました。私はできるだけ早く走り寄り、近づくと、その車に家族の姿をみました。母と父を強く抱きしめ、二度と離さないと感じながら、私の心が喜びでいっぱいになりました。埃で体や服は覆われ、顔には疲労と恐怖が刻まれていましたが、それでも生きていてくれたことに、神様に感謝しました。その瞬間、さまざまな感情が入り混じりました。命の危険にさらされていた恐怖は消えないままでも家族が生き延びていてくれたという一瞬の安堵が胸一杯に広がりました。

これは、この一か月の間に経験した二度目の避難でした。そのたびに、無力さや死の気配を感じ、そして愛する人をいつ失うかわからないという不安が、ますます胸にのしかかりました。戦闘は私たちの生活の一瞬一瞬を飲み込み、周りのすべてを灰に変化させ、砲撃や戦車の音があらゆる場所で私たちを脅かすのです。家族の目には不安が映り、表情のひとつ一つに、言葉、視線、動作のすべてに恐怖と不安がにじんでいました。私が心から望むことは、単に安全な場所にたどり着き、この終わりのない苦しみの中で、ほんの一瞬でも安らぎを見つけることだけなのです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: