長くて疲れる一日が終わり、私は力尽きたようにテントへ戻りました。人々を助け、厳しい生活を共にし、彼らに寄り添いました。けれども私もまた同時に、その苦しみや痛みを分かち合う一人なのです。周りにあるすべてのものが、この場所での暮らしのつらさを思い出させます。人々が苦しむ姿を目にしながら、自分にはほとんど何もできない、その無力さが深く胸に刺さってきます。
体はもうくたくたで、心もすっかり疲れているのがわかっていました。長い間何も食べていませんでしたが、それでも、私は力を振り絞って、毎日の仕事を続けようとしました。
大好きなコーヒーを長い間飲めなくて、そのせいか頭痛がずっと続き、頭が重く、疲れもひどくなっていきました。灼けつくような太陽の下に座り、歩くたびに立ち止まっては息を整え、少しでも元気を取り戻そうとしました。
すると突然、父が笑顔で近づいてきて、「君にサプライズがあるよ」と言いました。私はびっくりして「サプライズ?」と聞き返しました。父はにっこりして、「コーヒーを見つけてきたよ」と言ったのです。その瞬間、信じられないくらいの喜びで心がいっぱいになり、その喜びの感情を抑えることはできませんでした。心からのあふれる感謝で父を強く抱きしめました。今日、ようやくコーヒーを飲むことができる、こんな些細なことが、この厳しい現実の中では本当に大切な宝物のように貴重なこと等だと思えました。
私たちは一緒にコーヒーをいれました。その一つひとつの動作がとても素朴であたたかくて、ここ数日感じられなかった安らぎに包まれました。私はテントのそばに植えた木の下に座りました。やさしい風が顔をなで、葉っぱがさらさらと揺れ、その音が一瞬だけ心を落ち着かせてくれました。カップから一口すすった時、コーヒーの苦さの中に、大きな幸せを感じました。まるで世界がその瞬間だけ止まったようで、今日一日の疲れや頭痛、暑さや苦しみが、ほんの少しの間だけ消えていったのです。
しかし、コーヒーを飲むたびに、現実を完全に忘れることはできませんでした。
この喜びは一時的のものであり、また夜が来て、テントの暮らしや暑さ、空腹、そしてさまざまな苦しみに向き合わなければならないことを、私はわかっていました。口に広がる苦みとともに、昔の生活への切ない想い出が胸にあふれました。あの頃は、あたたかいコーヒーを飲むことも、きれいな庭の木陰に座ることも、葉を揺らす風を感じることも、当たり前のようにできていたのに、今では、それはすべてが遠い夢のようになりました。
それでも、木の下で過ごしたそのほんの少しのひとときの中で、自分の中へ静かに力が戻ってくるのを感じました。人生は、どんなに厳しくても、小さな幸せの瞬間を与えてくれることに気づいたのです。その一瞬を心にとどめながら、私たちは旅を続けます。どんな苦しみや痛みが待っていても、希望をしっかり持って、前を向いて歩んでいけるのだと思いました。
