2025年9月12日(金)

長い間ずっと考え願い続けた末に、今日がテントで過ごす最後の日になることをついに私たちは決断をしました。テント、それは、私たちの人生で最もつらい日々を過ごしてきた場所でした。痛みも、涙も、眠れない夜も、声にならない祈りも、テントはすべてを知り、見てきたのです。薄い布の下で、昼は耐えがたい暑さに、夜は凍える寒さに耐えてきました。私はテントが嫌いです。あの匂いも、狭さも、風も砂埃も防いでくれない壁も。
テントの中にいると、自分が誰なのか分からなくなり、人生にはなんの輝きも色も動きもなく、ただ重く沈みこんでいくような気がしていました。でも、今日は、違います。テント生活の終わりの日であり、新たな希望の始まりの日でもありました。

私は早く目を覚ました。胸は早鐘の鐘のように打ち、まるで何か美しいことが待っていることを心だけが先に知っているかのようでした。私は最後にもう一度あたりを見渡し、そっとささやきました。「これでテントは生活の終わり……苦しみの日々の終わり」と、

私は荷物を一つずつ、ゆっくりとカバンに詰め始めました。触れる物ひとつひとつに、思い出が宿っています。そして、痛みも、忍耐も、こうして生き延びてこられたことに思い出があります。

その時にこぼれた涙は悲しみの涙ではありません。喜びの涙です。やっと自由になれるという人間としての涙でした。私は、荷物をすべて隅にまとめて置き、しばらくそれらを見つめていたら、気づいたことがありました。今、私は、何か月ぶりかで、「逃げる準備」ではなく「帰る準備」をしていることに気がついたのです。そして今回の移動は避難ではないのです。
自分の家へ、自分の部屋へ、自分の手でつくったあのベッドへ帰ることができるのです。

その瞬間は、言葉では言い尽くせないほどの幸せと、胸の奥にまである悲しみが混じり合っていたと思います。幸せなことは、テント生活がついに終わり、眠れない夜も、終わりのない砂埃も、毛布に染み込んでくる雨も、“家がない” ことを感じさせる、吹きつける冷たい風もすべて終わるからでしょうか。そして悲しみは、テント生活の下で生き抜いてきたすべての苦しみを思い出し、この喜びはすべてに勝ったのだと思いました。私は涙の中で微笑み、何度も自分に言い続けました。「今度は避難じゃない」今度は最後の移動であって、もう二度とこんなことが繰り返されることのない“完全帰還”なの」と。長い間夢に見てきた日が、ついに訪れたのです。テント生活の章が終了して、家と、安全と、尊厳が守られる章が新しく始まる日です。まるで道の石たちでさえも、私たちの歩みを祝福してくれているように感じました。かつて私たちを苦しめたあの風でさえ、今は“帰還のための歌”を歌ってくれているようでした。


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