夜になると、テントの中は真っ暗になりました。電気もなく、ろうそくさえなくて、光はひとつもありません。暗闇がすべてを飲みこんでいくかのように、テントのすみずみまで、そして心の中まで、不安と恐怖で一杯になりました。夜の音――風の音や足音のひびき、テントがきしむ音さえ――すべてが恐ろしく聞こえて、まるで危険をささやいているようでした。
地面に座って、息を落ち着けようとしました。でも恐怖で胸が一杯になり、どうしても落ちつかないのです。小さな動きさえ大きく感じ、ふだんと違う音がすると、息を止めて「何か起こるのでは」と緊張してしまいました。真っ暗な中で、私は何もできず、世界がなくなって、ただ残っているのは恐れと不安に、胸をしめつける静けさだけのように思えました。
テントの中を見回すと、冷たさが体にしみこみ、影がまるで幽霊のようにゆれていました。お互いの顔もはっきり見えず、家族さえ静かに動く影のようにしか見えません。
電気も光もなく、安心につながる材料は何ひとつなく、私たちはみんな、この恐ろしい暗闇の中で息苦しく過ごしていました。
戦闘中であることが、いつも頭から離れません。遠くでも近くでも、どんな音でも危険を感じさせます。家族と一緒にいるのに、時間が過ぎるとひとりぼっちのように感じます。苦しみはこれまで以上に増して、ガザの夜は太陽がないだけではなく、悲しみと恐れが続いていく時間になっていると気づきました。それは終わりの見えない不安の延長なのです。
この暗闇の中で、私はあらためて気づきました。人は思いに耐えられないようなことがああっても、忍耐して生き抜く力を持っていること。そして、どんなに小さくても、希望は心の中に消えずに残っているということ。暗闇や恐れ、果てしなく長い夜の中でも、それは確かに私たちの中にあるということを確信しました。
