2025年6月21日(土)

今朝はとても早く眼が覚めました。太陽の強い光が私たちのテントに差し込む前に起きました。ここでは、朝、7時を過ぎるともう耐えらないほどの暑さになります。テントはまるで灼熱のかまどの火の中に閉じ込められたようになります。暑い空気は隅々まで広がり、風も日陰も無く、その暑さを和らげてくれるものは一切何もありません。そのような中で眠り続けることは不可能です。

私は、少しだけ残っていた水で顔を洗いました。その水はぬるくて体を冷やすことはできませんでしたが、眠気を覚ますのには十分でした。テントの外に出て、また新しい火との闘いが始まります。調理をするのに薪に火をつけることは本当に大変なことなのです。人によってはたやすいこととも思われますが、それが毎日となると私たちにとってはとても疲れることなのです。最初に乾いた枝を探し拾い集めますが、枝を折るたびにパッキと音がします。微かな風が炎を揺らし、中々火をつけるのに苦労します。煙が鼻に入り、炎の熱と太陽の熱が一緒になって、私の体は解けてしまうくらい暑くなります。

でも今日は、少し違いました。私たち家族は、とてもラッキーだと思いました。なんと、パスタの小さい袋をいくつか見つけたのです。それは、ほんの小さなことかもしれませんが、弟や妹たちの顔から満面の笑みがこぼれたのです。この廃墟の中で宝物を見つけたかのように飛びあがって喜んでいました。今日はレンズ豆ではありません。みんなが大好きなパスタです。戦闘が始まる前の生活を垣間見せてくれる食べ物を今日は食べるのです。

母と一緒に調理をはじめました。沸騰したお湯にパスタをいれて柔らかくなるのを待ちました。その料理をするには、まだまだ多くの物が足りません。美味しい味をだす玉ねぎ、独特の香りを出すニンニク、かつての台所を美味しい香りで満たしてくれたスパイスはありません。しかし、それらがなくても私たちにとっては、どんなごちそうよりも甘い香りに感じられました。

鍋の周りに集まって、互いに目を見合わせ感謝の思いで一杯になりました。ゆっくりと麺を口に運び、一口ごとにこの食事から慰めを感じるのでした。飢えや今までの苦しみの日々がほんの少しでも癒されていくようでした。たとえ完全な食事でなくても十分に満たされた思いでした。そして「どんな状況でも人生には小さな喜びがまだある」と感じる力が与えられたようでした。

2025年6月22日


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